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東京都立大学学部卒業制作作品

Relation-Lines

2021

東京都立大学 学部卒業制作作品

テーマ

モノとモノの関係を可視化する

制作期間

2020/04-2021/02

制作体制

個人制作

使用ツール

openFrameworks
TouchDesigner
Teachable Machine
(p5.js / node.js)

Concept
- コンセプト -

人はモノや環境から影響を受けて、自分の行動を決定する。
つまり、人とモノの間には力関係があり、見えない糸で結ばれている。
では、モノとモノはどのような糸で結ばれているのだろうか?

Background
- 背景 -

ジェームズ・J・ギブソンのアフォーダンス理論によれば、人はモノの形に影響を受ける。 例えば、椅子は「座る」という行為だけでなく、「背にコートをかける」という行為も誘発する。
また、深澤直人はこのアフォーダンス理論を受けて、「環境と人間」の関係と、「張り」という概念について言及した。
彼は、「環境と人間」を分けるのではなく「人間も環境の一部である」と考え、さらに人間が環境から受ける力を、内側から跳ね返す力のことを「張り」とした。

この2人の考え方を受けて、私は人間が環境から受ける力とは、人間がモノから受ける力だと考えた。では、環境の中にあるモノ同士はどのような関係を持つだろうか?

Relationships between things
- モノとモノの関係 -

私は、モノとモノが関係を持つには、間に人間の行為が必要だと考えた。
例えば、紙とペンが関係を持つには間に人間の「書く」という行為が必要である。ボトルとコップが関係を持つには、間に人間の「注ぐ」という行為が必要である。

ペンと紙の関係

紙とペンは「書く」行為で繋がる

ボトルとコップの関係

ボトルとコップは「注ぐ」行為で繋がる

Abstract
- 概要 -

モノとモノが関係をつなぐ行為を人間が行った時に、モノとモノ、そして人間から糸が放出されるようなインスタレーションを制作。
特に今回は、紙とペンと「書く」という行為に着目し作品を制作した。

System
- システム -
  • 深層学習による物体検知と、画像認識を使った接触判定を行い、その結果をTouchDesignerに送信。
    TouchDesignerでビジュアルエフェクトを生成し、それをプロジェクターにより実空間に投影している。

  • openFrameworksを用いた物体検知

    openFrameworksによる物体検知

    自身で作成したモデルを用いてYOLOによる物体検知を行う。
    ペン・人間の手・紙が、カメラ画像のどこにあるのかを検出し、その座標と大きさ、物体の名前をOSC通信で送信している。

  • Teachable Machineを用いた接触判定

    TeachableMachineを用いた接触判定

    Teachable Machineの画像認識システムを使って、ペンが手に触れているか触れていないかを判定。
    結果をwebsocket通信でTouchDesignerに送信。

  • TouchDesignerを用いたビジュアルエフェクト生成

    TouchDesignerを用いたビジュアルエフェクト生成

    openFrameworks、Teachable Machineから送信された結果をもとに、パーティクルを生成。
    プロジェクターで実空間に投影。

  • この作品の細かな技術については、別途noteを書いているので、よければそちらをご覧ください。

    note
Future Prospects
- 課題と展望 -
  • 課題

    ・非接触時の「モノ同士の関係」についてが未実装。
    ・画像認識や物体検知の精度が甘く、場所や明るさが変わると結果が変わり、汎用性がない。

  • 展望

    ・Leap Motionでの接触判定を実装。
    ・学習コスト上、今回学習させたのは紙とペンのみなので、物体検知の範囲を広げる。
    ・モノによって変化するビジュアルエフェクトの検討を行う。
      例)ボトルとコップだと水が流れるようなエフェクト など